ビームスプリッターは、入射光を波長が同じ2つもしくは、違う波長帯に光に分割する光学素子です。また、分離した光を重ね合わせる事も可能です。

目次

1,ビームスプリッターの種類
 ・キューブ型ビームスプリッター
 ・プレート型ビームスプリッター
 ・その他

2,ビームスプリッターの特性
 ・非偏光ビームスプリッター
 ・偏光ビームスプリッター
 ・無偏光ビームスプリッター
 ・ダイクロイックビームスプリッター

3,P偏光とS偏光の違い

関連製品

偏光ビームスプリッター

無偏光ビームスプリッター

1,ビームスプリッターの種類

ビームスプリッターには主にキューブ型とプレート型があります。

・キューブ型ビームスプリッター

 キューブ型ビームスプリッターは、機械的特徴を生かした安定的なビームスプリッタです。2つの直角プリズムの斜面を接合して作り、境界面には薄膜コーティングが施され光を分離します。
通常は光路中に入射角0°で配置します。1つの出射光は光軸上に出射され、もう1つは90°曲がり出射されます。入射角が0°であることの利点は、透過光の屈折による入射角と出射角の角度差異が最小に抑えられることです。また、合わせて入出射面でのARコーティングを施す事によりゴーストが低減されます。一方で、プレート型よりも厚みがあるため、光路長が長くなり、群遅延分散(GDD)が大きくなります。

キューブ型ビームスプリッター

・プレート型ビームスプリッター

 プレート型スプリッターは、軽量で設置面積が小さく、限られたスペースで使用可能です。一般的なプレート型ビームスプリッタは、45°の入射角になるよう光路中に配置します。プレートの一面もしくは両面に、光の一部分を反射し、残りを透過する薄膜をコーティングします。透過光は、屈折により入射光と出射光でズレが生じます。プレート型ビームスプリッターの背面では、ゴーストと呼ばれる反射が発生します。

プレート型ビームスプリッター

・その他

その他の種類について紹介します。

・ペリクル型ビームスプリッター

 ペリクル型ビームスプリッターは、ニトロセルロース膜を金属筐体内に取付けられた構造をしています。膜の厚さが数µmのため、2面での反射光が1面の反射光に重畳し、ゴーストが除去されます。また、ペリクル型ビームスプリッターは色分散や色収差も最小に抑えられ、ビームを集光する用途に最適です。非常に軽量ですが、薄膜は非常に繊細で取り扱いに注意が必要です。可燃性もある為、低光パワーの光のみで使用可能です。

・結晶型ビームスプリッター

 フッ化マグネシウム(MgF2)、方解石、石英、α-BBO, and YVO4などの結晶は、光と結晶の光軸との相互作用により、透過光と反射光に偏光が生じます。結晶ビームスプリッタの利点は、プレート型やキューブ型の偏光ビームスプリッターに比べてレーザに対する損傷閾値や消光比が比較的高いことです。そのため偏光レーザ光源での使用に適しています。結晶型ビームスプリッターはバルク単結晶タイプと、接着剤またはオプティカルコンタクトで複数の結晶を接合するタイプがあります。結晶は熱衝撃により損傷する事がある為、扱いや環境に気を付ける必要があります。

・ブリュースターウィンドウ

 ブリュースターウィンドウは、未コーティング基板(UVグレード溶融石英)で、ブリュースタ角で配置すると、その光軸に対するプロファイルが円形になります。ブリュースタ角では、P偏光成分は反射損失無しで透過しますが、S偏光成分は一部に反射します。ブリュースターウィンドウは重ねて配置して偏光子として使用したり、ビームの偏光比の向上に使用します。

・くさび型ビームスプリッター

 くさび形ビームスプリッターは、反射と屈折によって、1つの入射光を複数の光に分離します。入射光は徐々に減衰しながら、様々な出射角の多数の出射光となります。それらの出射光の偏向角は計算で導き出せます。

2,ビームスプリッターの特性

・非偏光ビームスプリッターの特性

 非偏光ビームスプリッターは、透過光と反射光の分割比をp成分やs成分の偏光成分別ではなく、あくまでその平均成分、合成波のみを考慮して設計します。したがって、入射光は、自然光に代表される非偏光の光 (Unpolarized Light)を前提に設計します。非偏光ビームスプリッターは、多色光の光に対して用い、かつp成分を考慮する必要のない用途に使用します。

・偏光ビームスプリッターの特性

 偏光ビームスプリッターは、ランダム偏光の光をs偏光とp偏光に分割します。PS分離ビームスプリッターとも呼ばれます。ランダム偏光のレーザーのビーム分割用途、或いは消光性の高い直線偏光の光を得るために利用されます。

・無偏光ビームスプリッターの特性

 無偏光ビームスプリッターは、入射光の偏光状態のまま、透過光と反射光を所定の比で分割します。1:1の分割比を持った無偏光ビームスプリッターは、透過光のp成分 (Tp)とs成分 (Ts)、及び反射光のp成分 (Rp)とs成分 (Rs)の全て同じ比率で分割されます。よってレーザーに代表される偏光した光の1:1ビーム分割が代表的な使用用途になります。また、透過光と反射光の各偏光状態は、入射光と同じになります。

・ダイクロイックビームスプリッターの特性

 ダイクロイックビームスプリッターは、入射光を波長帯域別に分離します。特定レーザー波長用のビームコンバイナーから、可視光と赤外光を分離する広帯域設計のホットミラーやコールドミラーなど、様々な製品があります。消光非が非常に大きいダイクロイックビームスプリッターは、蛍光アプリケーションにも用いられます。

 

3,P偏光とS偏光の違い

 S偏光は反射面に角度を付けた際、回転軸と同じ方向に向いている直線偏光、P偏光はS偏光に垂直な方向の直線偏光です。
反射光はこのP偏光とS偏光で反射の法則が異なるので別々に考える必要があります。